11.10.2025
オーストラリア・シドニーに越してきて1年が経った。サバイブしてきた感は多少あったけれど、ストレスフリーで穏やかな1年があっという間に過ぎてしまった気持ちである。人との出会いが大きかったのはもちろん、この街では多くのことを学んだ。人間らしく生きる意味や、自分の健康(運動や精神も)をきちんと保つこと、自分の性格や欲しいものを知ること、大切なことをたくさん教えてもらった。自分にとって最も大きかったのは、10日間のヴィパッサナー瞑想コースに行ったことだ。ここでは瞑想法について深く言及はしないが、自分の精神は意外と強いことが分かったのと、相手に期待すること・自分に期待することの無意味さも教えてもらった。
2ヶ月前の7月の日本帰国は、私にとって色んな意味で大きな出来事だった。帰国の嬉しさとある種のショックの両方を味わった。シドニーに渡った10ヶ月のうちにその中でまわりも自分も色んな変化があったようだ。日本に住んでいた時に少し気づいていたズレが大きなズレとして表出してきたせいで、日本の友人を数人失って帰ってきた。新しい友ができれば、古い友はいなくなるとはこのことなのだろう。その傷心で、私自身の今の心は東京にないのだと感じた。いい気づきであったとも今では思うが、それと同時にやるせなさを感じた。もちろん楽しいこともあったし、いい人たちが周りにいることの有り難さも感じた。だが、悲しさの容量が大きすぎて耐えられなかった。
そして今日は初めてシドニーで展示をする日であった。ボタン作品のグループ展である。働いているボタンショップのオーナーが誘ってくれて、参加させてもらった。自分の中では、今回のテーマとコンセプトに合ったいい作品を作れたが、それとともに反省点もいくつか見えた。次はもっといいものを作れる気がする。
1年という節目に、この街で私がいる意味というのを少しずつ作れているのは嬉しい。街に馴染むこと、コミュニティに入るのは容易なことではないから、時間をかけてやるしかないのである。
夜はダビンと彼氏のジョニーも来てくれて、一緒にレバノンファインダイニングレストランでディナーをした。元々工場だった場所をレストランにしていて、アンティーク調のテーブルやクロス、教会の椅子が印象的な店内で、初めて食べる創作レバノン料理は、新鮮でおいしかった。私のスタジオの隣のアーティストのレニがそこで働いていて、私の1年記念で来たと伝えると、デザートのサービスもしてくれた。2年目も楽しみである。