13.05.2025

朝6:30に起きる。すこしだけ日記を書く。朝食は昨日作った枝豆ご飯に玉ねぎ麹のスープ。朝ごはんに日本食を食べるのは久しぶりだ。

電車に乗ってRedfernで降りる。今日は歴史古書のブックバインディングの仕事。ここでは特に代々家族に受け継がれてきた本や、宗教本などの修復保存をメインでやっている。その他にも製本にまつわる道具や糊、紙も取り扱って販売している。面白いのが、この国は移民の国ということもあり、修復依頼の本は大体、イギリス・フランス・アメリカからの本が多い。200年ほど前にイギリス人が初めてこの国に辿り着いたと考えると、それ以前・以降の本がヨーロッパやアメリカ圏からのものなのは、確かにそうだろう。私はそこで2月から週3日で働き始め、3ヶ月が経とうとしている。オーナーのカーリは師匠のような存在で、とてもチャーミングで素敵な人だ。母と同世代だがすごく若々しくて毎週欠かさずにピラティスに通っている。

今日の仕事は、古書のフィルムカバー掛けをする。マイラー紙と呼ばれるポリエチレンフィルムを使って、本のサイズに合わせて保存のためにカバーをつける。
次は別の本の修復。まずは刷毛ブラシと本用の汚れ落としスポンジを使って汚れやホコリを取り除く。次は背表紙の劣化がひどいため、ページセクションごとの糸綴じを外して、新しく縫い綴じる作業だ。今回はフレンチスティッチという縫い方で、新しくカーリに教えてもらう。自分の中では初めてながらとても綺麗に出来たと思う。
お昼は隣の建築会社で働いているダビンと毎週恒例になっているランチ。新しくリニューアルしたパブNorfolk Hotelにてナスのパルミジャーナをオーダー。ダビンはフィッシュサンド。彼が通うピラティスのイケメントレーナーは筋肉隆々だという話をしていた。そして一緒に何かクリエイティブなプロジェクトをやりたいねなどと話した。
今日の最後の仕事は、85歳のアルバム製本の依頼で、表紙と裏表紙のボード紙とボール紙を貼り付ける作業だ。A3くらいのサイズで、大きなプレスマシーンを使って完全に貼り付けたりとかなり体を使う仕事だ。こういう体を使って仕事をするのは好きだ。頭も使い肉体も使ってこそやりがいを感じるし、ある種とても自然的かつ人間的であるようにも感じる。

17時に仕事は終わり、“see you guys tomorrow, thank you today”と言って工房兼お店を後にする。17:30にゾーイとMoriでスタジオシェアについて話そうと約束をしていたから、Lewishamに向かう。着いたら中はこの間のお別れパーティのままで畳が敷いてあり、その上で彼女は正座しながらパソコンワークをしていた。私はくすっと笑ってしまい、なぜならシドニーにてジャパニーズスタイルで仕事してるのはなかなか面白いと思ったからだ。パソコンを置いているテーブルも簡易的で、黒い木の板に脚は雑誌を積み上げただけだ。こういう創造性は好きだ。

彼女と今後のスタジオの方向性や、スペースの水回り問題やエントランスドアの解決策、展示やイベントなどのやりたいことをシェアした。私からはスタジオ名を提案した。これまでのスペースのMoriと似た、日本語ローマ字でスタジオのコンセプトに近いものをいくつか提案し、結構気に入ってくれたみたいで良かった。彼女とは感覚や考えが近くてとても話しやすい。そして私の拙い英語もちゃんと汲み取って理解してくれる。スタジオをシェアすることも完全に決まり、とても楽しみだしなによりも少しずつコミュニティーの一員になれているようですごく嬉しい。この街シドニーはまだまだ文化的ポテンシャルがあるしエネルギーもある。情報やモノが少ないからこそ、みな創意工夫を凝らして探究精神もある。ゾーイもグラフィックデザイナーでありながら、独学でコーディングも学んで自身でウェブサイトも作っていた。そして写真まで撮る。なんでもできる人が多くて影響を受けてばかりだ。さすがDIYの国である。これからここを拠点に新たな文化ができたらいいと思う。気づいたら7時近くになっていて、また来週ねと別れて歩いて家まで帰った。

着いたらカズがテキヤキミートボールを作って待っていてくれた。いつも私がミートボールの料理を作るとトマトソース系かクリームソース系になってしまうから、とても新鮮で美味しかった。シャワーを浴びて、日本での展示のスペースレンタルの問い合わせメールを送る。日記を書き終わって、ドラマを観た。10:30就寝。

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